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「漫画100」改め、大人になれば 稲田英資

大人になれば

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ぼくたちもその家の一部になって

   更新日:2010.08.19

恋してしまった中華鍋。
このコロンとした風情がたまりません。
鍋に収まっているのはひじき。おいしそう。

今日は取材で料理研究家の方のご自宅にお伺いしました。

ご自宅は高台の住宅地にあって、
外観は緑が多めの一般住宅。

でも、一歩入ると空気が違う。

高めの天井や広めに取られた窓、
緑が溢れかえっている庭、
開け放たれた和室の陰影ある表情、
使い込まれた和箪笥、
鍵や取っ手の装飾が無骨だけどどこか雅な韓国の箪笥、
面倒そうに寝転がっている16歳の白猫。

そこにあることが、とてもしっくりしていて、
そこにいることがこの家の大切な一部。

お邪魔したぼくたちもその家の一部になって
しっくり寛ぐことができるのでした。

余計なものがないということは
こんなに気持ちがいいことかと、
ちょっとうれしく、そして憧れてしまいました。

こんな家に、こんな風に暮らしていけたらいいなと
素直に思えた取材です。

そして、やっぱり調理道具がとても良かった。
プロの料理研究家!という感じがなくて、
愛情をこめて使い込まれている道具たちでした。

取材内容としてはそんなにいらないのに
興奮して台所で何枚も撮ってしまいました。

とくに好きになってしまったのが写真の中華鍋。

小ぶりな感じといい、
愛情込めて使い込まれた感じといい、大好きです。

ひとり興奮してバンバン写真を撮っていたら
料理研究家の方も「私もこれ好きなのー」と興奮し、
大人二人で中華鍋を囲み「いいよねー」と大騒ぎした
取材の一幕なのでした。



注目のブログ、『気がつけば82歳』
8月4日の日記にのけぞりかえる。

   更新日:2010.08.05

『気がつけば82歳』
8月4日の日記

個人的に注目のブログ、『気がつけば82歳』
8月4日の日記にのけぞりかえった。

敗戦を迎えた昭和二十年八月に19歳だった筆者が
綴っていた日記を紹介しているのだが、
そのフラットな感覚に驚く。

19歳ならではのセンチメンタルさ、自己憐憫さは
いまのぼくたちと何も変わらない。

そして、以前誰かが述べた
「こんな時世でも日本はキャンプしたり、
ご飯食べてるから平和だ」
みたいなコメントに違和感を抱いたことを思い出した。

いかに悲惨な戦争下においても青春はあるし、
日々の営みはある。

ぼくたちはTVや新聞で世界の戦争被害を知るとき、
無意識に情報の向こうの彼ら彼女を
「戦争中の人」と見る傾向があるが、
彼らだってくだらない冗談で笑い転げるし、片想いに悩むし、
日常のなかで楽しみを見つけようとするし、溶けるような夜を過ごすのだ。

「戦争中の人はずっと悲惨な顔をしている・楽しまない」というイメージは想像の放棄だし、
戦争側・非戦争側の線引きだと思う。

ぼくらと同じように笑ったり恋したり、日常を楽しもうとしている人たちがいて、
そこに戦争があることを忘れてはいけない。

そんなことを『気がつけば82歳』で思い出しました。



『気がつけば82歳』
8月4日の日記

『気がつけば82歳』

   更新日:2010.07.29

『気がつけば82歳』
http://thoughts.asablo.jp/blog/

82歳の女性のブログだそうですが、
その文章の瑞々しさ、読みやすさ、軽さ、
ふんわりとした情緒性にびっくりしました。

まだまだ世の中には知らない人が沢山いるんだと本当に驚いた。
うれしかった。

ぜひご一読ください。
気持ちのよい風が胸の中を通り過ぎていくようです。

『気がつけば82歳』
http://thoughts.asablo.jp/blog/



ドキドキが止まらない本。

   更新日:2010.07.26

夏ですね。

夏といえば文庫フェア。
個人的にはこういう明確な趣旨のないフェアはきらいですが、
下記のweb記事がおもしろかったです。

『3人のおじさん書店員が独断で決める2010年夏の文庫フェアベスト10』
http://www.webdoku.jp/newshz/zasshi/2010/07/26/110334.html

もし、高校生や大学生に夏休みにおすすめの本を挙げよといわれたら
(誰も言ってくれないけど)、こんな感じになります。

『しゃべれども、しゃべれども』 佐藤多佳子/新潮文庫
『博士の愛した数式』 小川洋子/新潮社
『ぼくが電話をかけている場所』 レイモンド・カーヴァー (村上春樹訳)/中央公論新社
『六の宮の姫君』 北村 薫/東京創元社
『青春デンデケデケデケ』 芦原すなお/河出文庫
『さくら』 西加奈子/小学館
『東京タワー』 リリー・フランキー/扶桑社
『翻訳夜話』 村上春樹・柴田元幸/文春文庫
『翻訳教室』 柴田元幸/新書館

ほとんどエンタテイメントですね。
でも、どれも心ふるえる良い本でした。

漫画は多すぎるので少しだけ。

『彼は花園で夢を見る』 よしながふみ/新書館
『プラネテス』 幸村誠/講談社モーニングKC
『皇国の守護者』 伊藤 悠/集英社ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ
『花よりも花の如く』 成田美名子/白泉社花とゆめCOMICS

中でも『翻訳教室』 は夏休みにたっぷり時間がある学生におすすめです。

東大大学院教授であり、翻訳家である柴田さんが
学生と実施した翻訳演習の講義内容を本で読めるという素晴らしい企画。
ヘミングウェイの『われらの時代に』の一節を学生が訳してきて、
それを授業で検討したりします。
授業で扱われている英文テキストが一部載っているので、
「自分ならどう訳すか」と考える喜びもあります。

ぼくは読んでいる間、ドキドキが止まりませんでした。
英米文学を専攻する・したい学生だったら
ぼくの100倍くらい「ああ!」って思うんじゃないかって思います。

大人になったぼくは今、
読まれないまま積んでいく本の量が冗談ではすまなくなってきて、
「ああ!」って毎夜思っていますが。



水難の日々。

   更新日:2010.07.14

被害にあった『カシオペアの丘で』上巻
(重松清・講談社文庫)
このゆがみが分かるでしょうか

雨が降り続いていますね。
西日本方面は大変そうです。
どうか不幸な災害が起きませんように。

ところで、ぼくもこの数日ミクロ的な水難にあっていました。

ある駐車場でトイレを借りた際、
「手持ちの鞄が邪魔だな」と入口そばの洗面台に置いたところ、
自動蛇口が反応して勢いよく水がジャー!
まるで鍋に水を貯めるがごとく鞄に水が注がれました。

なにすんだ自動蛇口!

被害は財布に文庫本にカード入れにと多岐にわたりました。
まだ1ページも読んでなかった重松清の
『カシオペアの丘で』上巻が一番の被害に。
トイレの入り口で泣く泣くそれらを拭くのは悲しかったです。

ぐっすん。

翌日。
乾いた紙幣を財布に入れ(意外と紙幣は早く乾く)、
気分直しに本屋に寄ろうと雨中、車を降りた瞬間、
なぜか手から財布がスポッと抜け、
なぜかちょうどあった水たまりにナイスインし、
なぜか紙幣がすべて飛び出て、
なぜか紙幣すべてがナイススイミングしたわけです。

なにすんだ財布!

いや、これはおれが悪いのか?
(もうぼくなんて言ってられない)
本屋の入口で雨の中、泣く泣く紙幣を拾うのは悲しかったです。
ぐっすん。

そして、昨日今日。

わけあって長野県高校野球の試合結果配信のお手伝いをしているのですが、
連日の雨で延期延期中止延期延期の嵐。
ただでさえ四苦八苦してシフトを組んでいるのに、どうすんのこれから。

なにすんだ低気圧!

みんなの白い目の中、鬼軍曹的にシフトを組み直すのは悲しかったです。

ぐっすん。


かように天気ひとつで悲喜交々な(喜はなかったけど)人生があるものだと、
しみじみ痛感した36歳の梅雨。


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